Makeawish29

side:

翔ちゃんに触れられてドキッとした。

そのドキドキは、次を期待してるドキドキ。

翔ちゃんの触れた手が離れても、ドキドキは止まらなかった。

どうして触りたくなったの?

イジワルな質問だよね。

でも、翔ちゃんがどう答えるか聞きたかった。

そしたら、

雅紀ってさ、首筋綺麗だよな。

で、顎あげてたから触りたくなった。

なぁんて恥ずかしそうに翔ちゃんが言っちゃうから可愛くて仕方ない。

いつもの翔ちゃんなら絶対言わない。

はぐらかして終わるはず。

でも今の翔ちゃんは素直に話してくれる。

翔ちゃん可愛い。

このままじゃ俺が我慢出来なくなりそう。

翔ちゃんからタオルを取ってその場でドンドン拭いた。

上は終わったけど下も着替えたい。

ちょっと風呂場行ってくる。

下も着替えたいからさ。

そういって風呂場に向かった。

脱衣所の鏡を見て深呼吸する。

自分の気持ちを落ち着かせるために。

鏡の中の自分を見つめて笑顔を作る。

翔ちゃんの困った顔は見たくないから。

下着まで着替えてリビングに戻った。

翔ちゃん、着替えてきたよ。

なんか俺、お腹空いた。

潤ちゃんが作ってくれたご飯食べようかな。

俺、あっためようか?

ありがと。

キッチンに立つ翔ちゃんなんてイメージないけど、俺のためにしてくれるって気持ちが嬉しかった。

キッチンに入った翔ちゃんは、アレっ?とかうわっ!とか言いながら頑張ってくれてる。

そんな姿を見たら。

キッチンに入って翔ちゃんの隣に立った。

俺が手伝いに来たのが納得出来ないみたいで、ソファで待ってろって背中を押されるけど、心配なんだもん。

翔ちゃん、隣にいるだけだからね?

し、仕方ないな手ぇ出すなよ?

真剣な顔してお鍋を温めながらゆっくりかき混ぜる翔ちゃんが愛しくて。

翔ちゃんを後ろから抱きしめていた。

ま、雅紀?

ごめんでも、やっとなんだ。

翔ちゃんにここまで近づけるって思ったら

お鍋はグツグツいってるのに、翔ちゃんの手は火を消さず俺の腕を掴んだ。

その手をグッと引き寄せられて、俺はもっと翔ちゃんの背中にくっ付いた。

翔ちゃん火

うんわかってる。

火を止めた翔ちゃんが振り返った。

俺から誘った。

なのに、心臓がドクンドクンって高鳴ってる。

どうしようほんとにいいの?

ねぇ、翔ちゃん。

雅紀、反則

そう言った翔ちゃんの腕の中に包まれた。

ずっと叶わないと思っていた。

夢見るだけムダだと思ってきた。

それが今、手の中にある。

翔ちゃん大好き。

小さな声で呟いたつもりの声は翔ちゃんにちゃんと届いていて、それが二人の距離の近さを感じさせてくれた。

俺も大好きだよ。

その言葉に嬉しくなって顔を上げて見つめあったら、自然と唇が重なった。